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実務担当者向けコラム 第14回 化学物質管理 廃棄物・資源循環 PRTR

PRTR対象物質とは何か

第一種指定化学物質と産業廃棄物処理委託契約の確認ポイント

掲載:2026年5月31日 / シリーズ:製造業のためのEHS法令用語ノート

工場でPRTR制度に関する確認をしていると、「PRTR対象物質」という表現が登場することがあります。化管法の条文にはこの表現は使われておらず、実務の中で広く使われている言い回しです。

化学物質管理と廃棄物管理は、担当部門が異なることも多く、それぞれ別々に管理されているケースがあります。しかし、PRTR制度と廃棄物処理法の間には、実務上の重要な接点があります。令和8年1月1日施行の廃棄物処理法施行規則改正により、一定の条件を満たす場合には、産業廃棄物処理委託契約書に第一種指定化学物質に関する情報を含めることが必要になりました。この接点を見落とすと、法令上の対応が漏れるリスクがあります。

本記事では、工場の環境安全部門・化学物質管理担当・廃棄物管理担当・EHS法令遵守確認の担当者に向けて、PRTR対象物質の意味から始まり、産業廃棄物処理委託契約書とWDSへの影響までを整理します。

この記事で分かること

  • 「PRTR対象物質」とは実務上どういう意味で、化管法上の第一種指定化学物質とどう対応するか
  • 化管法の第一種指定化学物質と第二種指定化学物質の違い、PRTR制度とSDS制度の対象範囲の違い
  • PRTR制度の第一種指定化学物質等取扱事業者の要件(対象業種・従業員数・年間取扱量)
  • PRTR制度での「排出量」と「移動量」の意味、廃棄物処理法との見方の違い
  • 令和8年1月1日施行の廃棄物処理法施行規則改正による産業廃棄物処理委託契約書への情報伝達義務の要件と3段階判断
  • PRTR届出上の移動量が0.0tであっても、それだけで契約書記載不要と判断できない理由
  • WDSと産業廃棄物処理委託契約書の関係、廃棄物中の含有判断に使う確認資料

1. PRTR対象物質とは何か

「PRTR対象物質」とは、PRTR制度において、事業所から環境中へ排出される量や、廃棄物などに含まれて事業所外へ移動する量を把握・届出する対象となる化学物質を指す実務上の表現です。化管法上は、第一種指定化学物質がこれに該当します。

PRTR制度の根拠法令

PRTR制度は、「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」(化管法)に基づく制度です。第一種指定化学物質等取扱事業者は、事業所ごとに第一種指定化学物質の排出量・移動量を算定し、毎年度、主務大臣あてに届け出ることが求められます。

PRTR制度の届出対象となるのは、第一種指定化学物質です。「PRTR対象物質には第一種指定化学物質と第二種指定化学物質がある」という理解は正確ではありません。正しくは、化管法の指定化学物質には第一種と第二種があり、そのうち第一種指定化学物質がPRTR制度の対象となります。第二種指定化学物質はPRTR届出の対象ではありません。

2. 化管法の指定化学物質には第一種と第二種がある

化管法の指定化学物質は、第一種指定化学物質と第二種指定化学物質に分けられています。それぞれがどの制度の対象になるかをまず整理します。

区分 PRTR制度 化管法SDS制度 補足
第一種指定化学物質
515物質
対象 対象 実務上「PRTR対象物質」と呼ばれることが多い
特定第一種指定化学物質
23物質(第一種に含む)
対象 対象 第一種指定化学物質のうち、発がん性等の懸念が特に強いもの。届出対象となる年間取扱量が0.5t以上とされている
第二種指定化学物質
134物質
対象外 対象 SDS制度の対象だが、PRTR届出の対象ではない

スマートフォンでは横にスクロールしてご確認ください。

化管法SDS制度の対象は、第一種と第二種を合わせた649物質です。第二種指定化学物質はSDS制度では対象ですが、PRTR届出の対象ではないため、PRTR算定の管理対象と混同しないよう注意が必要です。

よくある混同点

PRTR届出資料とSDS管理資料を並べると、対象物質の範囲が異なります。SDS管理では第二種指定化学物質も含まれますが、PRTR届出では第二種指定化学物質は対象外です。「SDS対象物質すべてをPRTRで届け出る必要がある」という理解は正確ではありません。

3. 第一種指定化学物質等取扱事業者とは何か

PRTR制度の届出義務を負う「第一種指定化学物質等取扱事業者」は、単に第一種指定化学物質を少量でも扱うすべての事業者を指すわけではありません。通常の製造業では、以下の要件が重なって初めて届出対象となります。

届出対象となる主な要件

1

対象業種に該当すること

製造業、電気供給業、石油精製業など、政令で定める24業種が対象です。自社の事業内容が対象業種に該当するかを確認します。

2

常時使用する従業員数が21人以上であること

21人未満の場合は届出対象外となります。ただし、従業員数21人以上であることだけでは届出対象にはなりません。

3

事業所ごとの年間取扱量が一定以上であること

いずれかの第一種指定化学物質の年間取扱量が1トン以上であること。特定第一種指定化学物質の場合は年間取扱量が0.5トン以上であること。この年間取扱量の基準は、事業所単位で確認します。

4

特別要件施設を有する場合

年間取扱量要件とは別に、特別要件施設(下水道終末処理施設、廃棄物埋立処分場など)を有する場合も対象になり得ます。

注意点

特定第一種指定化学物質は、年間取扱量が0.5t以上であれば確認対象となります。通常の第一種指定化学物質の年間取扱量1t以上という基準だけを確認していると、特定第一種指定化学物質の年間取扱量0.5t以上という基準を見落とす可能性があります。取扱物質の中に特定第一種指定化学物質が含まれるかどうかは、別途確認が必要です。

4. PRTR制度では「排出量」と「移動量」を把握する

PRTR制度では、大気、公共用水域、土壌などへの「排出量」だけでなく、廃棄物として事業所外へ移動する量や下水道へ移動する量を「移動量」として把握・届出します。

ここで重要なのは、廃棄物処理法とPRTR制度では、廃棄物に対する見方が異なるという点です。

制度 廃棄物への主な見方
廃棄物処理法 廃油、廃酸、廃アルカリ、汚泥など、廃棄物の種類や処理委託の適正性を確認する
PRTR制度 廃棄物に含まれる第一種指定化学物質の量を確認する

廃棄物処理法の管理では「廃油を適正に処理委託しているか」を確認します。PRTR制度では「その廃油に含まれる第一種指定化学物質はどの物質で、どれだけの量があるか」を見ます。この違いが、化学物質管理と廃棄物管理の接点となります。

化学物質管理と廃棄物管理を別々に管理していると、PRTR届出対象物質が廃棄物に含まれているにもかかわらず、産業廃棄物処理委託契約書やWDSへの情報伝達が漏れるリスクがあります。

5. 産業廃棄物処理委託契約書との関係

令和8年1月1日施行の廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則の改正により、一定の条件を満たす場合に、産業廃棄物処理委託契約書に第一種指定化学物質に関する情報を含めることが必要になりました。具体的には、廃棄物処理法施行規則第8条の4の2第6号ヘに、委託者が第一種指定化学物質等取扱事業者であり、委託する産業廃棄物に化管法第5条第1項により排出量・移動量を把握すべき第一種指定化学物質が含まれ、または付着している場合の情報伝達事項が追加されています。

ただし、「第一種指定化学物質が含まれる産業廃棄物であれば、常に産業廃棄物処理委託契約書への記載義務が生じる」わけではありません。記載義務が問題となるのは、次の条件が重なる場合です。

契約書への法定記載義務が生じる条件

委託者である排出事業者が、化管法上の第一種指定化学物質等取扱事業者に該当すること

化管法において主務大臣あてに排出量・移動量を届け出ている第一種指定化学物質が、委託する産業廃棄物に含まれ、または付着していること

廃棄物中の濃度が、第一種指定化学物質は重量1%以上、特定第一種指定化学物質は重量0.1%以上であること

契約書に含めるべき情報

上記の条件を満たす場合、産業廃棄物処理委託契約書には以下を含めることが必要です。

  • その旨(第一種指定化学物質が含まれること)
  • 当該物質の名称
  • 量または割合

令和8年1月1日施行:適用タイミングの確認を

この改正は令和8年1月1日に施行されています。なお、施行時点で既に有効な契約については、経過措置により次回の契約更新まで現在の契約が有効とされています。ただし、次回更新時に慌てないため、対象となる廃棄物やWDSの記載内容を事前に確認しておくことが重要です。

6. 契約書記載義務は3段階で判断する

産業廃棄物処理委託契約書への記載要否は、次の3段階で判断します。この判断は、事業所ごとに行う必要があります。

STEP 1

排出事業者が第一種指定化学物質等取扱事業者に該当するか

対象業種、従業員数21人以上、年間取扱量(第一種指定化学物質は1t以上、特定第一種指定化学物質は0.5t以上)または特別要件施設の要件を確認し、化管法上、排出量・移動量の把握・届出対象となる事業者に該当するかを確認します。STEP 1に非該当であれば、この改正による法定記載義務は生じません。

STEP 2

その物質が、化管法で排出量・移動量を届け出ている第一種指定化学物質か

事業所ごとのPRTR届出資料を確認します。届出対象として実際に算定・届出した第一種指定化学物質を特定します。届出していない物質は、この改正による法定記載義務の対象外ですが、適正処理に必要な情報として処理業者へ伝えることが必要な場合があります。

STEP 3

その物質が、委託する産業廃棄物に一定濃度以上含まれ、または付着しているか

廃棄物中の濃度が、第一種指定化学物質は重量1%以上、特定第一種指定化学物質は重量0.1%以上であるかを確認します。SDS・物質収支・分析結果などを活用して判断します。

3段階すべてに該当する場合に、産業廃棄物処理委託契約書への情報伝達義務が生じます。「PRTR届出対象事業者であれば、取り扱うすべての第一種指定化学物質について契約書に記載しなければならない」という理解は正確ではありません。

7. A物質・B物質の例で考える

具体的な例で考えてみます。

前提

ある事業所で、第一種指定化学物質であるA物質とB物質を取り扱っている。この事業所は対象業種・従業員21人以上・PRTR届出対象事業者の要件を満たしている。

A物質

年間取扱量1t以上 → PRTR届出対象

実際に化管法で届出している

B物質

年間取扱量1t未満 → PRTR届出対象外

化管法では届出していない

A物質について(法定記載義務の対象)

A物質は化管法で届出している第一種指定化学物質です。廃棄物処理法施行規則改正に基づく契約書への法定情報伝達義務は、A物質について判断します。A物質がこの事業所の廃棄物に重量1%以上含まれ、または付着している場合は、産業廃棄物処理委託契約書への記載が必要です。なお、A物質が特定第一種指定化学物質の場合は、重量0.1%以上が判断基準になります。

B物質について(法定記載義務の対象外だが適正処理のための確認は必要)

B物質は第一種指定化学物質ではありますが、化管法で届出していない物質であれば、この改正による法定記載義務の対象にはなりません。ただし、B物質が廃棄物の処理工程、安全性、環境影響に関係する場合には、廃棄物処理法上の適正処理に必要な情報として処理業者へ伝えることが必要となる場合があります。

法定記載義務と適正処理のための情報提供は別

「この改正による法定記載義務の対象かどうか」と、「適正処理のために処理業者へ伝えるべき情報かどうか」は、別の観点で判断します。法定記載義務の対象外であっても、廃棄物の処理に影響する有害物質等は、適正処理の観点から処理業者へ情報提供することが求められます。

8. 移動量0.0tでも記載不要とは限らない

PRTR届出上の移動量欄が「0.0t」と表示されていることだけをもって、産業廃棄物処理委託契約書への情報伝達義務がないとは判断できません。

環境省が示すFAQでは、大気への排出のみで届出している場合であっても、届出している物質が廃棄物に含まれている場合には情報伝達が必要とされています。PRTR届出上の移動量の値は、移動量の多寡を確認するものであり、「移動量が0.0tだから廃棄物には含まれていない」を意味するものではありません。

確認すべきポイント

PRTR届出上の移動量が0.0tと表示されていることだけをもって、契約書への情報伝達義務がないとは判断できません。確認すべきなのは、届出対象となっている第一種指定化学物質が、委託する産業廃棄物に一定濃度以上含まれ、または付着しているかです。

  • 情報伝達義務の対象となる量の下限は示されておらず、廃棄物重量に占める割合が、第一種指定化学物質は1%以上、特定第一種指定化学物質は0.1%以上であるかが判断基準
  • 移動量0.0tは「廃棄物に含まれていない」を意味しない
  • 大気排出のみで届出していても、同じ物質が廃棄物に含まれている可能性はある

FAQに「移動量0.0tなら記載不要」と直接記載されているわけではありません。確認が必要かどうかは、届出対象物質が廃棄物に含まれているかどうかで判断します。

9. 廃棄物に含まれ、または付着しているかをどう判断するか

廃棄物の名称や種類だけでは、第一種指定化学物質が含まれているかどうかは判断できません。「廃油」「汚泥」「廃酸」という廃棄物の種類を確認するだけでは不十分で、その廃棄物に何が含まれているかを別途確認する必要があります。

判断には、複数の資料を組み合わせて確認します。

確認資料 確認すること
PRTR届出資料・算定シート 届出対象物質、排出量・移動量の算定根拠、廃棄物への移動量の算定方法
SDS・成分表・配合表 原材料や薬品に含まれる第一種指定化学物質とその含有率
工程フロー・物質収支 どの工程から発生した廃棄物に、対象物質がどの程度移行するか
廃棄物発生量・マニフェスト 廃棄物の種類、発生量、委託先の確認
WDS 処理業者へすでに伝えている廃棄物の性状・有害物質情報
分析結果 廃棄物中の含有率の実測値。必要に応じて活用する。

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必ずしも外部分析が必要なわけではない

廃棄物中の成分割合の確認には、必ずしも外部分析が常に必要なわけではありません。実測のほか、原材料や資材のSDSに記載された含有率、物質収支、文献値、工程の経験値などから算出・推定することも考えられます。

ただし、廃棄物の性状や組成が製造工程や使用薬品の変更によって変わる場合には、算定根拠の見直しが必要です。また、処理業者との事前の協議や確認が重要であり、処理業者が受入可否や処理方法を適切に判断できる情報を伝えることが前提となります。

10. WDSとの関係

WDS(廃棄物データシート)は、産業廃棄物の性状や有害性、発生工程などを処理業者に伝えるための情報伝達資料です。環境省「廃棄物情報の提供に関するガイドライン」では、WDSを活用した情報伝達の重要性が示されています。

契約書とWDSの関係

産業廃棄物処理委託契約書の本文にすべての化学物質情報を直接書き込むことが現実的でない場合、WDSや契約書別紙を活用することが考えられます。契約書本文に「成分等については別途添付のWDSに基づく」などと記載し、WDSを契約書と紐付ける運用が考えられます。

WDSは形式的な書類ではない

WDSは、処理業者が受入可否や処理方法を判断するための実質的な資料です。形式的に作成するのではなく、廃棄物の発生工程、使用薬品、有害物質、必要に応じた分析結果などを確認しながら作成することが重要です。排出事業者と処理業者の双方向でのコミュニケーションが、WDSの有効な活用につながります。

製造工程・使用薬品の変更時には見直しを

製造工程や原材料・使用薬品が変わると、廃棄物の組成や成分情報も変わります。変更の際には、PRTR算定資料、WDS、産業廃棄物処理委託契約書の内容を見直す必要があります。変更前に作成したWDSや契約書の内容が実態と合わなくなっている場合は、処理業者との協議・更新が必要です。

PRTR → WDS → 契約書 のつながりを確認する

PRTR届出資料で把握している届出対象物質が、WDSに反映されているか。WDSの内容が産業廃棄物処理委託契約書と整合しているか。この流れを確認することで、法令上の情報伝達義務の抜けを防ぐことができます。

11. 工場で確認すべきポイント

PRTR対象物質と産業廃棄物処理委託契約書の関係を確認する際に、現場で見ておきたいポイントをまとめます。

  • 自社の業種がPRTR制度の対象業種に該当するか確認しているか
  • 常時使用する従業員数が21人以上かどうかを確認しているか
  • 事業所ごとに第一種指定化学物質の年間取扱量を確認しているか
  • 特定第一種指定化学物質の0.5t基準を見落としていないか
  • PRTR届出対象物質とSDS対象物質を混同していないか(第二種指定化学物質はPRTR届出対象外)
  • PRTR届出資料と産業廃棄物処理委託契約書がつながっているか
  • 廃油、廃酸、廃アルカリ、汚泥、使用済み活性炭、フィルター材、集じんダスト、洗浄廃液などに届出対象物質が含まれていないか確認しているか
  • PRTR届出上の移動量が0.0tであることだけで判断していないか
  • WDSに第一種指定化学物質の名称、量または割合が反映されているか
  • 製造工程や使用薬品が変わった場合に、PRTR算定資料・WDS・委託契約書を見直しているか

12. まとめ

PRTR対象物質を確認する際には、単に「第一種指定化学物質を使っているか」だけでは足りません。その物質がPRTR届出対象となっているか、廃棄物に含まれ、または付着しているか、一定濃度以上か、そして産業廃棄物処理委託契約書やWDSで処理業者へ伝えるべき情報かを確認する必要があります。

化学物質管理と廃棄物管理を別々に見ていると、この接点が抜け落ちます。PRTR、SDS、WDS、産廃契約書、マニフェストをつなげて確認することが、工場のEHSコンプライアンスでは重要です。

この記事のポイント

  • PRTR制度の対象は第一種指定化学物質。第二種指定化学物質はPRTR届出の対象外
  • 第一種指定化学物質等取扱事業者に該当するかは、対象業種、従業員数、年間取扱量または特別要件施設の有無を確認して判断する
  • 令和8年1月1日施行の廃棄物処理法施行規則改正で、産業廃棄物処理委託契約書への法定記載義務が新設。ただし対象は「届出している第一種指定化学物質が廃棄物に一定濃度以上含まれる場合」に限られる
  • PRTR届出上の移動量が0.0tでも、廃棄物中に対象物質が含まれているかどうかは別途確認が必要
  • WDSは形式的な書類ではなく、処理業者が適正処理を判断するための重要な情報伝達資料
  • 製造工程や使用薬品の変更時には、PRTR算定資料・WDS・産廃委託契約書を一体として見直す必要がある

13. 次回予告:SDS交付対象物質とは何か

なお、SDSは化管法だけでなく、労働安全衛生法上の化学物質管理でも重要な役割を持ちます。SDS交付対象物質の考え方や、安衛法と化管法の違いについては、次回の記事で整理します。

次回:第15回

SDS交付対象物質とは何か(準備中)

工場・事業場のEHSコンプライアンスを、現場で確認しませんか

PRTR、SDS、WDS、産業廃棄物処理委託契約書、マニフェストを別々に管理していると、法令上の接点を見落としやすくなります。クシィ・グローブ合同会社では、現場確認・書類確認・関係者インタビューを通じて、工場・事業場のEHS法令遵守状況を確認し、自社で管理できる体制づくりを支援しています。

例えば、次のようなお困りごとはないでしょうか。

PRTR届出対象物質が廃棄物に含まれているかどうかを確認したが、産廃委託契約書への反映が適切かどうか自信がない

WDSを作成しているが、令和8年1月1日施行の改正への対応が十分かどうか確認したい

化学物質管理と廃棄物管理の担当が異なり、PRTR届出資料と産廃管理が連動できているか確認したい

まずは現状の管理状況の整理からご相談ください。

主な根拠法令・資料等

本記事で参照した主な条文・資料等は以下のとおりです。実務で判断する際は、必ず最新の原典をご確認ください。

化管法関係

特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(化管法)

PRTR制度・SDS制度の根拠法令。第2条第2項で第一種指定化学物質、第2条第3項で第二種指定化学物質、第2条第5項で第一種指定化学物質等取扱事業者を定義している。また、第5条第1項で第一種指定化学物質等取扱事業者による排出量・移動量の把握、第5条第2項で届出について定めている。

特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律施行令

別表第1で第一種指定化学物質、別表第2で第二種指定化学物質を定めている。対象業種、第一種指定化学物質等取扱事業者の判定に関係する年間取扱量、特別要件施設等の確認にも関係する。

特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律施行規則

PRTR届出の様式、届出方法、算定・届出に関する実務上の手続を定める。対象物質ごとの排出量・移動量の届出実務を確認する際に参照する。

廃棄物処理法関係

廃棄物の処理及び清掃に関する法律

産業廃棄物の排出事業者責任、処理委託、委託基準の根拠となる法律。産業廃棄物の運搬・処分を他人に委託する場合には、法第12条第5項・第6項に基づき、許可業者への委託と政令で定める委託基準の遵守が求められる。

廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令

産業廃棄物の委託基準を定める政令。第6条の2第4号で、委託契約を書面により行い、委託契約書に含めるべき事項を定めている。同号ヘで、その他環境省令で定める事項を委託契約書に含めることとしており、その具体的事項が廃棄物処理法施行規則第8条の4の2に定められている。

廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則

産業廃棄物処理委託契約書に含めるべき事項を定める省令。第8条の4の2で、令第6条の2第4号ヘの環境省令で定める事項を規定している。令和8年1月1日施行の改正では、第8条の4の2第6号ヘに、委託する産業廃棄物に第一種指定化学物質が含まれ、または付着している場合の情報伝達事項が追加された。

廃棄物処理法施行規則第8条の4の2第6号ヘ(令和8年1月1日施行改正・直接関係条文)

令和8年1月1日施行の改正で直接関係する条文。委託者が第一種指定化学物質等取扱事業者(化管法第2条第5項)に該当し、委託する産業廃棄物に化管法第5条第1項により排出量・移動量を把握すべき第一種指定化学物質が含まれ、または付着している場合に、その旨、当該物質の名称、量または割合を委託契約書に含める必要がある。

経済産業省・環境省資料

経済産業省「PRTR制度」

PRTR制度の概要、対象化学物質、対象事業者の説明。

経済産業省「化管法SDS制度」

化管法SDS制度の概要、対象物質の説明。

環境省「PRTRインフォメーション広場」

PRTR届出データの公表、算定方法の案内等。

環境省「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則の一部を改正する省令の施行について(通知)」

令和7年12月22日付け環循規発第2512221号。令和8年1月1日施行の委託契約書に含まれるべき事項の追加について、対象事業者、対象となる廃棄物、第一種指定化学物質の名称・量または割合の情報伝達、経過措置を示している。

環境省「有害廃棄物の情報伝達省令改正に関するFAQ」

廃棄物処理法施行規則第8条の4の2第6号ヘに関する実務上のQ&A。届出していない第一種指定化学物質の扱い、廃棄物中の含有割合が1%未満の場合、特定第一種指定化学物質が0.1%未満の場合、WDSへの記載方法、既存契約の経過措置などを確認する資料。

環境省「有害廃棄物の適正処理に係る情報伝達について」

改正の趣旨と情報伝達のあり方を示した資料。

環境省「廃棄物情報の提供に関するガイドライン 第3版」

WDSを活用した廃棄物情報の提供方法に関するガイドライン。産業廃棄物の性状、発生工程、有害物質情報、第一種指定化学物質に関する情報を、排出事業者から処理業者へ適切に伝達するための実務資料。

環境省・経済産業省「PRTR排出量等算出マニュアル 第5.3版」

PRTR制度の排出量・移動量の算定方法を示したマニュアル。

e-Gov法令検索や経済産業省・環境省ウェブサイト等で原典をご確認ください。法令の改正状況により内容が変わっている可能性があります。本記事の情報は一般的な整理であり、個別の事業所・廃棄物への法令適用を断定するものではありません。

免責事項

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事業所・設備・廃棄物への法令適用を断定するものではありません。PRTR制度の届出対象要否、産業廃棄物処理委託契約書への記載義務の要否、WDSの記載内容の適切性は、対象業種、従業員数、年間取扱量、対象物質の種類・濃度、廃棄物の性状、所轄行政機関の判断等によって異なります。本記事の内容を実務に適用する際は、必ず原典の法令・通達・Q&A等を確認の上、必要に応じて所轄の都道府県・市区町村または専門家にご相談ください。本記事の情報を利用したことによるいかなる損害についても、クシィ・グローブ合同会社は責任を負いかねます。